履修モデル Course model

情報ネットワークコース

インターネットは、Webやメールなどのグローバルなコミュニケーション基盤としてのみではなく、従来の電話やテレビに代表される通信や放送インフラを吸収しながら発展しており、統合的なコミュニケーション基盤となりつつあります。さらに、インターネットを基盤とした革新的で新しい多様なサービスがあらゆる分野で花開いています。このため、その急速な発展に追従すべく、インターネットはさらなる高速化、大容量化、高信頼化、高機能化およびセキュア化が急務であり、この分野の研究、開発、運用に携わる人材が強く望まれています。

本コースでは、ネットワークを介した情報サービスを実現する様々な技術、すなわち通信メディアと直結する下位層から、情報ネットワークの中核をなす中位層、そして様々な情報サービスを実現する上位層まで幅広い分野にわたる技術を総合的に教授します。ネットワークサービスの利用者と提供者が安全かつ高度な利用と提供を可能とするために、情報ネットワーク技術に精通し、深い学術的知識と共に実践的な技術が身に付くようネットワークプログラミングや独自の実習などにより、次世代の高度な情報ネットワークインフラとネットワークサービスを創出する人材を養成します。

人間環境情報コース

社会のあらゆる分野で今や欠くことのできない存在となっている情報処理システムにおいて、その構成要素であるコンピュータやネットワークインフラの高速・大容量・低価格化、ならびにアプリケーションソフトウェアの高機能・多様化という点での進歩は著しいものがあります。しかし、ユーザである人間にとって、今日の情報処理システムが誰にでも使いやすくその能力をフルに活かしきれるような存在となっているかというと、まだまだ未解決の課題が山積しています。

その一つは、外部環境から知覚される情報にもとづいて認知・判断し外部に対して行動するという、人間自身の情報処理に対して、コンピュータ・ネットワークからもっと積極的に歩み寄ることによってユーザへの支援と人間とコンピュータの協調を実現することです。このための技術課題の解決は、人間もその構成要素となっているシステム全体のスループット(性能)向上のみならず、高齢者や身体に障害をもつユーザへのユニバーサルサービスの提供、あるいは国際化にともなう異文化交流への対応という社会の要請からも、今後ますますその重要度が増すものと思わ
れます。

人間環境情報コースでは、人間とコンピュータのコミュニケーションを実現するメディア情報の認識・生成技術を具体的課題として実世界と情報空間の橋渡しをするプログラミング技術、人間の感覚・感性・行動を科学的に分析する様々な技法、人間の情報処理メカニズムのコンピュータによるモデル化などを幅広く修得します。これによって、人間が関わる様々な情報環境を創出する基盤技術を身につけ、人間主体のIT 社会の実現に貢献しうる技術者を養成します。

社会情報コース

インターネット/Web は単なる情報共有の基盤から広範囲な社会活動の場へと変容しつつあります。個人の活動を即時的に伝える情報の世界規模での流通は、新たな価値を創り出すダイナミズムをもたらします。こうした活動が新しいサービスの創造を促しているのです。

Web2.0で総称されるようなこの再生産の動きは、情報産業はもとより広く商業、流通、文化など社会全体を覆いつつあります。産業界からは今後、社会的な視点に立ったサービス設計とこれを実現する情報システム技術への要求が爆発的に増加することが予想されます。

社会情報コースはこのような需要に応え、情報技術分野の知識と技能に基づいて、新たなサービスの創出を担う人材を育成します。具体的な要素技術は、デジタルコンテンツの検索、編集、加工、再生産を支援するための技術です。本コースでは、特に知識の再生産の観点から、セマンティックWeb、クラウドコンピューティングやタブレット型コンピュータの活用など高度な情報技術活用の中核である要素技術などが、主要な教育・研究の目標となり、これらを実践的学習により習得します。

ユビキタス情報コース

コンピュータの9割以上は生活空間に存在する家電、交通システム、電子マネーなど様々な電子機器に内蔵されており、これらが通信、制御、情報処理を行うことで、快適にそして安全に社会生活を送れるような時代になりました。これは、エレクトロニクスの発展による装置の小型化、省電力化、低価格化が背景にあります。現在さらにこれらがネットワークで結ばれ、装置間で協調した通信や制御が行われるように発展しつつあり、小型、低価格のセンサを大量に組み込んだセンサネットワークは、災害の予知をはじめとした様々なシーンで応用され始めています。

ユビキタス情報コースでは、組込システムとよばれる電子機器を制御するためのシステムに必要な情報技術を学び、いつでも、どこでも、そして誰もが利便性を享受できるユビキタス情報社会の基盤技術を確立する人材を輩出することを目的としています。ユビキタスコンピュテーションを支える技術は人を中心としたラスト1mの近距離無線通信技術、組み込みシステムとそれらを統合する分散システム技術、高度な情報分析・判断を担う知能化技術などからなり、本コースではこれらを横断的に習得することでユビキタス分野での即戦力を磨きます。

生体情報コース

生体機能の優れた点を見いだしそれを工学的観点から解析し、医療や福祉に結びつけていくことは重要です。我が国は比類なき高齢化社会に急速に進みつつあり、福祉や介護などにおける知能情報工学や生体情報工学の担う役割は非常に大きいといえます。今日、ヒトや他の生物種のゲノムの解明が急速に進んだのに対し、マクロなレベルでは脳の記憶や認知、生体の器官機能制御など未知な事柄が多いままです。生体情報コースは、マクロなレベルでヒトをとらえ、生体のシステムの機能や構造を、電子工学、情報工学的な側面から解明し、医療、福祉、介護などの領域へフィードバックを行うことができる人材育成を目的としています。本コースは生体の機能や構造をマクロ、ミクロのレベルでイメージングする分野、ヒトの機能の計測と解析、情報伝達を中心に取り扱う分野、そして、これらの情報処理や生体機能を工学的に応用し福祉、介護などへ展開する分野の計3分野で構成されます。

生物やヒトの有する情報や情報伝達の仕組み、機能を遺伝子からヒトまで広範囲にわたり統一的に教授し、これらの成果を医療や介護・福祉まで応用できる生命科学と電子工学、情報工学の双方に強い人材を育成し、医療機器産業、バイオテクノロジー産業などさまざまな工学分野へ展開できる研究者、技術者を輩出することを目指します。

基礎情報コース

コンピュータハードウエア・ソフトウエアおよびアルゴリズム分野は、コンピュータの性能に飛躍的な進歩をもたらしてきただけでなく、さまざまな問題を計算システムとしてモデル化することで多くの応用分野を生みだしてきました。IT を牽引してきたこの基礎分野はその応用分野が拡がるに従い重要性をいや増しつつあります。
基礎情報コースでは、コンピュータの基礎原理に精通し、独自の計算システムを設計・実装できる計算機のエキスパート、あるいは次代の基礎分野を切り拓くパイオニアを育成します。基礎分野として、計算機アーキテクチャ、計算の原理、アルゴリズム効率化に係る技術、プログラミング言語の理論・設計・実装法を習得することですべてのIT に通じる技術を身につけ、応用分野であるグラフィックス、自然言語、人工知能、セマンティックWeb の各技術を通じて問題領域を計算システムとしてモデル化する手法の実際を学ぶことで、基礎分野の思考方法を体得します。
これらを揺籃として、広範な問題に対応できる問題解決スキルと新たな応用分野を創出する高い創造性を涵養します。